5 月 1st 2008
第87条の1 真正品の並行輸入禁止の例外
次の各号のいずれかに該当する場合は、前条第4号の規定を適用しない。
(1) 中央又は地方官公庁の利用に供するために輸入する場合。ただし、学校又はその他の教育機構の利用に供するために輸入又は資料保存の目的以外で視聴覚著作の原作品若しくはその複製物を輸入する場合は、この限りでない。
(2) 非営利の学術、教育又は宗教機構が資料保存の目的で視聴覚著作の原作品若しくはその一定量の複製物を輸入し、又はその図書館における貸出若しくは資料保存を目的として視聴覚著作以外のその他の著作の原作品又はその一定量の複製物を輸入する場合であって、第48条の規定に従ってこれを利用する場合。
(3) 輸入者個人の頒布以外の利用に供するため又は入国者の荷物の一部として著作の原作品又はその一定量の複製物を輸入する場合。
(4) 貨物、機器若しくは設備に付随する著作の原作品又はその複製物が貨物、機器又は設備の適法な輸入に伴い輸入される場合、当該著作の原作品又はその複製物については貨物、機器又は設備の使用又は操作時において複製することができない。
(5) 貨物、機器又は設備に付属する説明書若しくは操作マニュアルが貨物、機器又は設備の適法な輸入に伴って輸入される場合。ただし、説明書又は操作マニュアルが主要な輸入物品である場合は、この限りでない。前項第2号及び第3号の一定量については、主務官庁がこれを別に定めるものとする。
【解説】
本条は、第87条第4号の「真正品の並行輸入の禁止」の例外規定である。主要な目的は、公益又は個人の使用のための輸入は明文により特別に認め、禁止しないものとすることにある。その各号の規定の適用は、おのおの次のとおりである。
(1) 中央又は地方官公庁の利用に供するために輸入する場合。ただし、学校又はその他の教育機構の利用に供するために輸入又は資料保存の目的以外で視聴覚著作の原作品若しくはその複製物を輸入する場合は、この限りでない。本号の輸入の目的は「中央又は地方官公庁の利用」に限定され、実際の輸入者又は輸入量については制限が設けられていない。ただし、視聴覚著作に関しては、学校若しくはその他の教育機構の利用に供するため又は中央若しくは地方官公庁による資料保存の目的以外である場合には、その利用が大量であり利用の性質が特殊かつ市場が限定され、著作財産権者の権益に深刻な影響を及ぼすおそれがあることから、輸入が禁止される。これは、視聴覚著作の特性に焦点を絞り、輸入が認められる例外範囲に特別な除外規定を設けたものである。
(2) 非営利の学術、教育又は宗教機構が資料保存の目的で視聴覚著作の原作品若しくはその一定量の複製物を輸入し、又はその図書館における貸出若しくは資料保存を目的として視聴覚著作以外のその他の著作の原作品又はその一定量の複製物を輸入する場合であって、第48条の規定に従ってこれを利用する場合。本号は、非営利の学術、教育又は宗教機構が資料保存の目的のため、又はその図書館の貸出若しくは資料保存の目的のために明文により真正品の並行輸入を認めたものである。それは、図書館の貸出又は資料保存の目的のための輸入である以上、当然第48条の規定に基づきこれを利用することができるにすぎず、その他の利用をしてはならない。輸入可能な数量制限は、著作権法主務官庁が本条第2項による授権に基づき、法規命令により「著作権法第87条の1第1項第2号及び第3号の規定数量」を定め、非営利の学術、教育又は宗教機構が資料保存の目的をもって視聴覚著作の複製物を輸入する場合、1部をその限度とし、非営利の学術、教育又は宗教機構の図書館貸出又は資料保存の目的をもって視聴覚著作以外のその他著作の複製物を輸入する場合は、5部以下を限度とした。
(3) 輸入者個人の頒布以外の利用に供するため又は入国者の荷物の一部として著作の原作品又はその一定量の複製物を輸入する場合。本号は個人の輸入行為を認め、即ち、真正品の並行輸入の禁止は主として貿易業者が大量輸入した製品が著作財産権者又はその許諾を受けた代理業者の市場利益に影響を及ぼすことを禁止し、個人使用目的の少量の輸入であれば、個人の権益を尊重し禁止しないことが適切であるとした。輸入可能な一定の数量は「著作権法第87条の1第1項第2号及び第3号の規定数量」に基づき、1部を限度とする。後段の規定の「入国者の荷物の一部として著作の原作品又はその複製物を一部輸入する場合」に関しては、前段のように必ず「輸入者個人の頒布以外の利用に供するため」に限定されるとの規定は存在せず、従って頒布目的であってもよいが、当該複製物の輸入者は自ら賃貸できるにすぎず、転売はできない。これは、第59条の1の譲渡権が対象を「中華民国 の管轄区域内において著作の原作品又はその適法な複製物を取得した所有権者」に限定し、第60条が「著作の原作品又はその適法な複製物の所有者は、その原作品又は複製物を賃貸することができる。」とし、「中華民国 管轄区域内において著作の原作品又はその適法な複製物の所有権を取得した」ことを要するとの明文規定は存在しないことから、台湾の管轄区域内における当該物品の買受人は前述の原則に従い、当該複製物を賃貸又は転売することができる。このような規定はアンバランスであり、性急な立法により全体的な配慮に欠け、不備があると言わざるを得ず、次回の改正時において改める必要がある。
(4) 貨物、機器若しくは設備に付随する著作の原作品又はその複製物が貨物、機器又は設備の適法な輸入に伴い輸入される場合、当該著作の原作品又はその複製物については貨物、機器又は設備の使用又は操作時において複製することができない。本規定は貨物、機器若しくは設備に付随する著作の貨物、機器又は設備の輸入に伴う輸入を認めるものである。この場合、主要目的物は貨物、機器若しくは設備であり、著作ではない。これらの著作が貨物、機器若しくは設備の付属部分であることにかんがみれば、輸入の主要目的物としてではなく、貨物、機器若しくは設備に付随することで同時に輸入することが可能となる。例えば、ソフトウエアプログラムゲーム機器はコンピュータプログラム著作が主要目的物であり、反対に機器は付属品であるため、当該条項の適用範囲には含まれない。ただし、自動車又は一般電化製品は輸入の主要目的物であり、車両又は電化製品に付属するコンピュータプログラムが主ではないことから、使用又は操作の一体性に基づき、当然にその輸入を制限し強制的に分離することはできず、特別に輸入が認められる。ただし、それらが機器の使用又は操作に付随するものである以上、本号を援用し、輸入後大量複製による著作財産権者の権益を侵害することのないよう複製は当然に禁じられる。
(5) 貨物、機器又は設備に付属する説明書若しくは操作マニュアルが貨物、機器又は設備の適法な輸入に伴って輸入される場合。ただし、説明書又は操作マニュアルが主要な輸入物品である場合は、この限りでない。説明書又は操作マニュアルは貨物、機器又は設備の使用又は操作に必要不可欠なものであり、貨物、機器又は設備に伴い輸入することを制限し強制的に分離することはできないことから、特別に輸入が認められる。ただしそれは、使用又は操作に供するものである以上、当然説明書又は操作マニュアルを主要な輸入客体とすることはできず、但書において禁止され、輸入することはできない。
第2項は、著作権法主務官庁に第1項第2号及び第3号の一定数量についてその規定額の制定を授権するものである。主務官庁は本項の規定に基づき、1993年4月24日に「著作権法第87条の1第1項第2号及び3号の一定数量」を公布し、施行している。