本法の主務官庁は経済部とする。
著作権業務は、経済部が指定する専属責任機関が執行する。

【解説】
 本法の主務官庁は、1928年の著作権法制定当時は内政部であり、当該部門が設置した著作権委員会が具体的な業務を執行していた。しかし、1999年1月26日 から経済部に改められ、当該部門により設立された専属責任機関である智慧財産局(台北市大安区辛亥路二段 185号4楼、 電話:02-2738-0007、URL:www.tipo.gov.tw)により具体的な著作権業務が執行されている。

 1992年から2001年の間の著作権法においては、「本法にいう主務官庁」という言葉が用いられており、その他の法律又は現行著作権法の規定に見られるような「本法の主務官庁」ではなかった。それは主として、著作権にかかる主務官庁が多数存在したことに由来しており、例えば、当時のラジオ、テレビ及び映画事業を主管する行政院新聞局(現在、主管は文化部に改められた)、文化事業を主管する行政院文化建設委員会(現在、文化部に改組された)、教育行政を主管する教育部、著作関連製品の貿易業務を主管する経済部国際貿易局、著作関連製品の生産工場を主管する経済部商業司、著作関連製品の輸出入を主管する財政部税関に及び、ひいては、権利侵害の取り締まりを執行する検察庁、警察庁、法務部調査局及び権利侵害事件の司法裁判を行う司法院各級法院も主務官庁に含まれ、著作権法の主務官庁の権限と職責に全面的に属さないことから、本法において明文で「主務官庁」と称する場合には、著作権法の主務官庁である内政部又は経済部を意味するものとした。2001年改正法は第2項において、経済部は専属責任機関として「智慧財産局」を設置し著作権業務の執行に従事させることができることを確認しつつ、通例に倣い第1項において「経済部」は「本法の主務官庁である」と明確に定めた。

 現在、著作権法の主務官庁は経済部であり、実際の業務は経済部により専属責任機関として指定された経済部智慧財産局により執行されている。現行著作権法及び文化創意産業発展法によれば、経済部が管轄する業務には、以下のものが含まれる。
一、著作権法第5条第1項各号の著作の内容例示の制定(第5条第2項)
二、他人の著作を教科書に使用することが適正な利用に該当する場合の報酬料率の制定(著作権法第47条第4 項の仕様報酬率)(第47条第4項)
三、 音楽著作の強制許諾及び使用報酬計算弁法の制定(第69条第2項)
四、製版権の登記弁法の制定(第79条第5項)
五、技術的保護手段の特定例外規定及び各種例外の内容の制定(著作権法第80条の2第3項各号内容認定要点)(第80条の2第3項第9号及び第4 項)
六、 経済部智慧財産局著作権審議調停委員会の組織規程の制定(第83条)
七、著作権紛争の調停に関する弁法の制定(第83条)
八、並行輸入の禁止の例外である一定数量の輸入の制定(著作権法第87条の1第2項及び第3項の一定数量)(第87条の1第2項)
九、税関が行う著作権又は製版権侵害物の差押え実施弁法の制定(第90条の2)
十、著作権者又は製版権者が提供する著作権又は製版権保護のための通用認証又は保護技術措置を認定し、インターネット・サービス・プロバイダが実施に協力できるようにする(第90条の4第3項)
十一、インターネット・サービス・プロバイダの民事免責事由実施弁法の制定(第90条の12)
十二、専門家、学者及び関連業者を召集し、事業の公開送信の方法の著作権侵害情状が重大であるか否かの認定を行い、且つ期限までに是正するよう命じ、是正されない場合の営業停止又は強制廃業命令。
十三、著作権に関する申請手続の料金徴収基準の制定(第105条第2項)
十四、著作財産権を目的とする質権登記及び閲覧弁法の制定(文化創意産業発展法第23条第3項)
十五、著作財産権者不明の著作利用の許諾の許可及び使用報酬弁法の制定(文化創意産業発展法第24条第5項)

専属責任機関である経済部智慧財産局が管轄する業務には、以下のものが含まれる。
一、ラジオ・テレビ局の暫定的な録音物の保管場所指定(第56条第2項)
二、適正な利用の範囲を協議する際の諮問 (第65条第4項)
三、音楽著作の強制許諾の許可、無効又は取消の申請(第69条第1項及び第71条)
四、著作権集中管理団体の設立許可(第81条第1項)
五、著作権審議調停委員会を設置し審議及び調停事項を行う(第82条第1項以下)
六、法院の著作権にかかる訴訟事件の判決書収受(第115条の2)
七、著作財産権質権登記、閲覧の受理、又は民間機構もしくは団体に当該業務を委託する(文化創意産業発展法第23条第1項、第2項及び第4項)
八、著作財産権者不明又は著作財産権者所在不明の著作の利用強制許諾及びその取消、廃止の受理(文化創意産業発展法第24条第1項、第2項、第6項及び第7項)。

2009年7月12日 原文修正に伴い訳文修正。
2010年7月30日 原文修正に伴い訳文修正。
2013年5月20日 原文修正に伴い訳文修正。