著作者は、本法に別段の定めがある場合を除き、その著作を公開放送する権利を専有する。
実演家が複製又は公開放送を許諾した実演を再び公開放送する場合は、前項の規定を適用しない。

【解説】

「公開放送権」は、著作者の重要な著作財産権であり、各種著作の著作者は「公開放送権」を享有するが、実演家の公開放送権は、実演の複製後又は公開放送後に再び放送される行為にまでは及ばない。また、現場実演の実況中継放送については、実演の著作財産権者の許諾を得る必要があるのはいうまでもないが、一旦実演がその著作財産権者の許諾を得て録音・録画又は現場放送された後は、当該実演の録音若しくは録画の放送又は現場放送後の再放送若しくは中継放送については、実演の著作財産権者の許諾を必要としない。

公共の場所でテレビをつけることは、単純な受信行為であり、公開放送ではない。情報受信後に再び同期又は非同期の中継放送を行うのでなければ、公開放送には該当しない。公開放送とはBroadcastであり、ラジオ及びテレビがこれに含まれ、インターネット送信の場合、インターネットラジオ又はテレビのWeb castはすべて第26条の1の公開送信行為であり、公開放送ではない。

実務でよく目にするのは、ラジオ・テレビ局が音楽著作が収録された録音著作を放送する場合に、音楽及び録音がそれぞれ複製及び公開放送等の権利を享有することから、他人の音楽著作を録音して録音著作を制作することは音楽著作を利用した複製行為に該当し、許諾を得なければならない。当該音楽著作者のその他の権利に至っては、その音楽が録音されたことにより影響を受けることはなく、ラジオ・テレビ局が音楽著作が収録された録音著作を放送することは、当該録音著作の中に複製された音楽著作を公開放送することでもあることから、音楽著作の著作財産権者から公開放送の許諾を得なければならず、録音著作の著作者が音楽著作の著作権者から複製の許諾を得ていることを理由に、公開放送の許諾を得る必要はないと主張することはできない。