著作財産権を質権の目的とする場合に、設定時に別途約定がある場合を除き、著作財産権者はその著作財産権を行使することができる。

【解説】

著作は、流通及び利用されなければその本来の価値を顕示することができない。原則的に著作財産権を質権の目的とした場合に、著作財産権者が著作財産権を行使しても質権者の権利に影響を及ぼさないことから、著作財産権者はその著作財産権を行使することができる旨規定した。ただし、設定時に別途約定がある場合には、質権者の権利を尊重するために、著作財産権者はその著作財産権を行使することができない。

「質権の設定」とは、世間でいうところの「質入れ」であるが、著作財産権においては、著作財産権を債権者に担保として提供し借金をする又は相当の対価を得ることをいう。

「質権の設定」後も、著作財産権者は依然として著作財産権者であるが、期限までに弁済することができなければ、債権者は著作財産権の競売を申し立て、競売により対価を得て元金及び利子の弁済に充当することができる。

どのように質入れするかは、著作財産権は「物」ではなく抽象的な法律上の権利であることから、その「質権設定」は、主務官庁を通じて質権設定登記をすることにより質権が確保された。かつて、1998年著作権法改正前に著作権登記制度が存在したころには著作財産権の質権登記が存在したが、後に著作権登記制度とともに廃止された。

質権設定は、権利を債権の担保とし、「質権設定」後も権利者は依然としてその権利を行使することができるため、速やかに金銭を工面させ滞りなく債務を弁済させるためのものであるということができる。

2010年2月3日に制定、公布された文化創意産業発展法第23条は、文化創意産業が当該産業から生じた著作財産権を目的とする質権を、著作権専属責任機関において質権の設定、譲渡、変更、消滅又は処分の制限等の登記できる旨復活させ、登記がなければ善意の第三者に対抗できないとした。経済部はすでにこの拠り所となる「著作財産権質権登記及び調査閲覧弁法」を制定・公布している。

2011年原文修正に伴い訳文修正