法令に基づき教育行政機関の検定を受ける教科書の編纂又は教育行政機関が教科書を編纂する場合には、適正な範囲内において他人が公開発表した著作を複製、翻案又は編集することができる。
前項の規定は、当該教科書に付随する編纂であって専ら教学担当者に提供する教学用補助教材について準用する。ただし、当該教科書の編纂者による編纂に限られる。
法に基づき設立された各級の教育機構は、教育目的のために必要がある場合、適正な範囲内において他人が公開発表した著作を公開放送することができる。
第3項の場合において、利用者は利用形態を著作財産権者に通知し、使用料を支払わなければならない。使用料の料率は主務官庁が定めるものとする。

【解説】

本条は、教科書の編纂における適正な利用に関する規定であり、「法定許諾」である。教科書を編纂するために、教育行政機関又はその他の如何なる者も、学生の授業の使用に供するという目的により、適正な範囲内において他人がすでに公表した著作を複製、翻案、又は編集することができる。また、当該教科書に付随し専ら教学担当者に提供する教学用補助教材、例えば教師用ハンドブック、掛け図又は専ら授業中に放映する教学補助として使用する録音・録画テープ等は、同一の教科書の編纂者において同一の著作に対して同様に適正な利用を行うことができる。

第63条第4項に基づき、本条の利用には頒布も含まれ、また「適正な範囲内」でなければならないことから、第65条第2項に規定される4項目の基準に基づき認定されなければならない。

本条にいう「教科書」の範囲は厳格に定められており、高校以下の学校において使用される教育部の検定を経た教科書又は教育部が自ら編纂した教科書をいい、専門学校以上の学校において使用される教授の指定図書又は各学校が自ら編纂した通用図書は含まれない。同様に、いわゆる「参考書」もこれに含まれない。

法に基づき設立された各級の教育機構は、教育目的のために必要がある場合、適正な範囲内において他人がすでに公表した著作を公開放送することができる。例えば、校内の放送システムを利用し、特定の短文鑑賞又はある特定の分野若しくは作曲家の特集音楽を放送し学習と見聞に供する等がこれに該当する。教育放送局(訳注:教育部が運営する放送局)、世新放送局(訳注:世新大学が学生の実習のために提供する非営利性の放送局)等のように、その放送が学校構内外に及ぶもの、又は学校が放送システムを介し経常的に英語学習雑誌の内容を放送する、若しくは朝・昼間に音楽を流す等の定期的なものについては、適正な利用の範囲には含まれず、本条は適用されない。

本条の適正な利用の客体となり得るのは「すでに公開発表された著作」であり、未公表の著作については、本条に基づきこれを行うことはできない。本条の利用は、第64条の規定に基づき、著作者人格権を尊重し、出典を明記しなければならない。

当該条文に基づく利用は「適正な範囲内」でなければならず、任意に行えるものではない。例えば、英語の短文1篇を使用し英語教科書の本文とした場合は適正な利用に該当するが、「ラジオ英語教室」某月号の全部を教科書の内容とする場合は、適正な利用とは認められない。

第47条の適正な利用は、使用料を支払わなければならず、未許諾の利用を「適正化」し、著作財産権者と利用者の利益の均衡を図るものである。教科書編纂のために著作財産権者の許諾を得なくても他人がすでに公表した著作を複製、翻案又は編集することができるが、教科書の市場は一般の出版物の市場に比べ広範であり、その利用形態は著作財産権者に対して大きな影響を与える。また、校内の公開放送は、教育上の使用に便宜を図るため許諾を得なくてもよいとされ、許諾交渉の煩雑が軽減されたが、著作財産権者に過度の損失を与えるべきではない。そこで第4項は、その使用形態を著作財産権者に通知し、主務官庁が定める使用報酬料率に基づき使用報酬を支払わなければならない旨規定した。主務官庁は現在「著作権法第47条第4項の使用報酬率」を定め、各方面に遵守規範として提供している。

第47条第4項において法定使用料の料率が定められていることから、第65条第2項に規定される4項目の基準に基づき適正な利用か否か判断される際にも使用料が考慮される。従って、第47条の「適正な利用の範囲内」は、教科書編纂目的であること、また、使用料支払義務があることにより、その範囲は一般の適正な利用に比べて広いものと解される。

著作財産権者は、本条に基づく利用者の利用に対抗する権利を有さず、報酬請求権を有するにすぎない。当然、利用者が著作財産権者の許諾を得ること又はさらに多くの使用報酬を支払うことは第37条の合意による許諾に該当し、本条にいう「法定許諾」ではない。利用者において第37条に基づき許諾を得ることができるのであれば、本条の「法定許諾」を利用しないほうがよい。それは、教科書に依拠して参考書を編纂する際に同一著作を使用する必要が出てくる可能性があるが、参考書は本条にいう「教科書」ではないため、利潤の高い参考書の編纂に便宜を図るためには、同時に著作財産権者の許諾を得て教科書及び参考書を編纂する方がより現実に即しているからである。

実務上、利用者において著作財産権者が誰であるかを知らない又は著作財産権者と連絡が取れない場合、どのように通知し使用料を支払ったらよいのだろうか?この場合、使用報酬を保管し、著作財産権者が現れた時に支払えばよい。また、本条の使用報酬は著作財産権者における利用者に対する債権であり、利用者が著作財産権者を知りながら使用報酬を支払わなければ、著作財産権者は民事訴訟により支払請求訴訟を提起することができるが、利用者に対して著作権侵害を主張することはできず、これと第69条の音楽著作の強制許諾とは異なる。第69条は「著作専属専任機関の強制許諾の申請を経て使用報酬を支払った後、当該音楽著作を利用し、別に録音製作することができる」と明文により規定しているが、反対に本条はまず利用ができる旨規定し、第4項において改めて「利用者は、利用形態を著作財産権者に通知し、使用料を支払わなければならない」としている。このような立法モデルにより、実務上は、教科書を出版する出版業者が本条に基づき著作を利用した後、著作財産権者の所在を知っていたにもかかわらず全く著作権者に通知することなく使用料を支払わず、誰かに利用事実を知られてそれが著作財産権者の耳に入り、著作財産権者が道理を訴えてやっと出版社が使用料を支払うというような著作財産権者を全く尊重しないといったことが常であり、著作権者は不満を漏らしている。出版社はとりわけ注意して適切にこの制度を利用し、このような著作の利用態度を改めるべきである。