中央若しくは地方機関又は公的法人の名義により公開発表された著作は、適正な範囲内において、複製、公開放送又は公開送信をすることができる。

【解説】

本条は政府出版物の適正な利用について規定している。米国著作権法第105条は、連邦政府の著作は著作権法の保護を受けず如何なる者も自由に利用することができる旨規定している。ただし、台湾においては、第9条第1項第1号及び第2号の「憲法、法律、命令又は公文書」及び「中央又は地方機関により作成された憲法、法律、命令又は公文書の翻訳物又は編集物」が著作権の目的とならないことを除き、その他の「中央若しくは地方機関又は公的法人の名義をもって公開発表された著作」については依然として著作権法の保護を受け、その使用は原則的に許諾を得なければならない。

「中央若しくは地方機関又は公的法人の名義により公開発表された著作」には、いわゆる「政府出版物」及び政府の出資により設立された公的法人の出版物が含まれ、それらは政府の情報公開の役割を担い各方面に広く利用されなければならないことから、本条はその著作財産権の帰属の如何にかかわらず「中央若しくは地方機関又は公的法人の名義により公開発表された著作」であれば、適正な利用の範囲内において複製又は公開送信することができるものとした。未公表の著作については、本条の適用範囲に含まれない。

本条にいう「適正な範囲内」とは、むろん非常に幅があるものと解されるが、本法第65条第2項に規定される4項目の基準に基づき判断されなければならない。例えば、政府出版物から統計表を引用するのは構わないが、全部を複写することはできない。

本条に基づく利用方法は、さらに第63条第1項及び第3項の規定に基づき「翻訳」及び「頒布」を行うことができるが、第64条の規定に基づき、著作者人格権を尊重し、出典を明記しなければならない。