報道、評論、教学、研究又はその他の正当な目的のために必要がある場合、適正な範囲内において公開発表された著作を引用することができる。

【解説】

本条は、「報道、評論、教学、研究又はその他の正当な目的のために引用する場合」について規定している。この「引用」の方法は複製に限られず、例えば、講演における口述、公開放送、公開上映、公開送信又は公開演出における他人の口頭表現又は文字表現を引用し述べる場合のように、目的にかなったあらゆる行為が含まれ、ポイントは「適正な範囲内」であるか否かにある。

通常、本条の「引用」は、自己の創作活動があることを要し、そこに「引用」される他人の著作は自己の創作の論拠となされるにすぎない。自己の創作活動がなく、単に他人の創作を集結してまとめるだけでは本条の適正な利用には該当しないため、許諾を得なければこれを行うことはできない。最も典型的な例としては、論文において「引用文」を引用符(クォーテーションマーク)でくくり(quotation)、さらに注釈を付して「出典」(citation)を明らかにし、自己の見解が真実かつ根拠に基づくものであることを証明するような場合である。