ラジオ又はテレビ放送局は、公開放送を目的として、自己の設備を用いて当該著作を録音又は録画することができる。ただし、公開放送を行う者が著作財産権者の許諾を得た場合又は本法に規定されるものに限られる。
前項の録音物は、著作権専属専任機関が指定した場所での保管を認めているものを除き、録音又は録画後6月以内にこれを廃棄しなければならない。
【解説】
著作財産権者の許諾を得て又は適正な利用に該当することによりラジオ又はテレビ局が著作を公開放送することができる場合には、公開放送を行うために本条に基づき自己の設備を用いて当該著作を録音又は録画することができる。本規定の目的は、公開放送権者と複製権者が異なる又は適正な利用により番組を公開放送することができるが番組を複製することができない場合において、ラジオ又はテレビ局が公開放送を行うことができるということに基づき、さらに利用範囲を当該著作を公開放送するための録音録画にまで拡張し、再度複製の許諾を得る必要をなくすことにある。本条の利用は、自己の公開放送目的である以上、当然自己の機器を用いて当該著作を録音録画する場合に限定される。
本条は、自己の公開放送目的のために当該著作を録音録画することに限定しており、放送完了後即ち目的達成後は当該録音録画物を保存することはできないことから、第2項において、録音物は著作権専属責任機関が指定する場所において保存が認められているものを除き、録音又は録画後6ヵ月以内に廃棄しなければならないと規定されている。本条項の録音は適正な利用であって違法複製行為ではないことから、本条の規定に従って廃棄しなかったとしても、本法には刑事処罰規定が設けられておらず、著作財産権者が未廃棄の事実を知った場合には、本条に基づいて廃棄請求ができるにすぎない。
コメントは受け付けていません。