美術著作又は撮影著作の原作品若しくは適法な複製物の所有者又はその同意を得た者は、当該著作の原作品又は適法な複製物を公開展示することができる。
前項の公開展示者は参観者に対して著作の説明のために説明書の中に当該著作を複製することができる。
【解説】
本条は、美術著作又は撮影著作の公開展示権に関する制限である。未発行の美術著作又は撮影著作の著作財産権者は当該著作について第27条の規定に基づき公開展示権を享有し、美術著作又は撮影著作の原作品又は適法な複製物の所有者は当然当該原作品又は適法な複製物について物権を享有する。このような場合に、著作財産権と物権のバランスをとる必要があり、本条は物の所有権者が物権に基づき自ら又は他人に許諾を与えて当該特定の原作品又は適法な複製物を公開展示することができるとし、著作財産権者の当該特定の原作品又は適法な複製物の公開展示権に対して制限を設けた。
その他、著作の参観者のための解説に対して便宜を図るため、当該特定の著作の原作品又は適法な複製物の所有者又はその者の同意を得た者は、説明書において当該著作を複製することができる。従って、参観者に対して著作を説明する目的のためでなければ任意に当該著作を複製することはできないが、博物館又は美術館のガイドブック又はパンフレット等の説明書であれば、著作権法の保護を受ける展示美術著作又は撮影著作を印刷制作することができる。ただし、この条項に基づき、大量に精巧な出版物を参観記念品店又は館外の商店において販売・発行することはできない。同様の理論により、これらの機構であっても学習プリントを作成し参観に訪れた学生に対して教学のために使用することはできない。
コメントは受け付けていません。