街道、公園、建築物の外壁又はその他公衆に解放されている屋外場において長期間展示されている美術著作又は建築著作は、次の各号に該当する場合を除き、如何なる方法によってもこれを利用することができる。
(1) 建築により建築物を複製する場合。
(2) 彫刻により彫刻物を複製する場合。
(3) 本条に規定する場所に長期展示の目的のために複製する場合。
(4) 専ら美術著作の複製物を販売する目的のために複製する場合。

【解説】

本条は、公衆に解放されている屋外の場所に長期間展示されている美術著作又は建築著作の適正な利用について規定している。これらの場所において長期間展示されている美術著作又は建築著作は公衆に撮影又は複製されやすく、全般的に許諾を要するとしたならば当然に不都合が生じ、人々が意識せず行い得ることから、適正な利用となる余地が設けられている。ただし、その利用が明らかに著作財産権者の利益に損失をもたらす場合には、依然として著作財産権者の許諾を得なければこれを行うことはできず、そこで本条は自由利用の例外を列記し、利用することが許されない場合の態様を次のとおり明確に規定した。

1. 建築により建築物を複製する場合。同一の建築物を建築してはならない。ただし、建築物の傍らで撮影を行う、建築物の模型やキーホルダーを製作する又は建築物を絵画制作のテーマとすることは許され、また「複製により建築模型を制作」することも許される。

2. 彫刻により彫刻物を複製する場合。朱銘美術公園にある「太極拳」彫刻を原作のとおりに又は縮小して複製することはできないが、撮影又は写生することは任意に行ってよい。

3. 本条に規定する場所に長期展示の目的のために複製する場合。立法目的の解釈上、本条の規定が適用される客体は「街道、公園、建築物の外壁又はその他公衆に解放されている屋外場において長期間展示されている美術著作」に限られ、建築著作は含まれない。なぜなら、建築著作は本来対外的に公開されているものであり、適正な利用となり得ない態様は第1号の「建築により建築物を複製する場合」に限られ、建築著作のその他の利用はすべて許されるからである。従って、本号の規定に基づき、本来屋外場において長期間公衆に開放されている美術著作を複製し再び公衆に開放された屋外場に長期間展示することは許されない。例えば、教会又は寺院の外部の彫刻を複製後再び屋外場に長期間展示することは許されない。建築物をミニチュア化し子ども遊園地に屋外展示することは、本号によって認められる適正な利用の範囲内である。

4. 専ら美術著作の複製物を販売する目的のために複製する場合。本条の規定は「専ら」「美術著作の複製物」を販売する目的のために複製する場合に限定している。当該美術著作の複製物をどのように複製したかについては制限がないが、立法目的の見地から、美術著作を「原作のとおりに複製」して販売することは許されないが、その他の「創作性を有する複製」までは含まれないと解される。朱銘美術公園にある「太極拳」彫刻を原作のとおりに複製し販売するには、許諾を得なければならない。朱銘美術公園にある「太極拳」彫刻の撮影又は写生については「複製」により「創作」を行うものであり、完成された「創作」は、「原作どおりの複製」ではなく「創作性を有する複製」である。従って、本号にいう「美術著作の複製物」には該当せず、適正な利用と解することができる。また、本条は「美術著作」についてのみ適用され「建築著作」には適用されないことから、建築物からキーホルダーを製作し販売することは本号による禁止範囲には含まれず、依然として適正な利用行為である。