原著作を翻案した創作は二次的著作であり、独立した著作としてこれを保護する。二次的著作の保護は、原著作の著作権には影響を及ぼさない。

【解説】

創作は、自らの独立構想により完成する場合もあるが、始めから完全に自ら創造した知的活動の結晶ではなく、既存の著作に依拠して再び創作を行う場合もある。金庸の侠客小説の映画化又は高行健の中文小説の英文翻訳を例に挙げると、金庸の侠客小説又は高行健の中文小説はいずれも「原著作」であり、これらの「原著作」に依拠して映画化された映画又は翻訳された英文は創作活動を経ているので、これらは「翻案による創作」であり、どちらも「二次的著作」となり、原著作から独立した著作として著作権を享有し保護を受ける。いわゆる「翻案」とは、第3条第1項第11号の規定によれば、「翻訳、編曲、脚色、フィルム撮影又はその他の方法により原著作から別の創作を行うこと」をいう。

二次的著作は「著作の種類」ではなく「創作方法」である。つまり、二次的著作は原著作を「翻案」した創作であって、原著作の翻案を経て完成された著作であり、その著作の種類については、最後に完成した形態がどのようなものであるかを基準に判断される。従って、金庸の侠客小説の映画化又は高行健の中国語小説を英語に翻訳した場合の原著作はいずれも「言語著作」であり、完成した二次的著作が映画であれば「視聴覚著作」となり、英文翻訳であれば「言語著作」となる。

「二次的著作」は独立した著作として保護され、独立した著作権を享有するが、「原著作」の著作権には影響を及ぼさない。なぜなら、この場合、「原著作」と「二次的著作」は二つの異なる個々に独立した著作であり、それぞれ法に基づき保護を受け、翻案されたからといって「原著作」の権利の完全性には何ら影響はないからである。例えば、高行健の中文小説の英文翻訳を映画化する場合、依然として中文原著作の翻案であることに変わりはなく、英文版の著作財産権者の同意を得なければならないほか、「原著作」の中文版の著作権者の同意も得なければならない。また、いわゆる「二次的著作の保護は、原著作の著作権には影響を及ぼさない」とは、もともと保護を受けない原著作に対して、二次的著作の保護を契機に新たに保護を与えるものではないことをも意味する。英訳の曹雪芹の「紅楼夢」を例に挙げると、英文版の「紅楼夢」は保護されるが、すでにパブリックドメインとなった「紅楼夢」が再び保護を受けることはない。

第28条の規定により、翻案権は著作財産権者に帰属し、「原著作」を翻案しようとする者は、著作財産権者の許諾を得なければならない。ところで、許諾を得ずに無断で翻案を行った場合には、著作財産権者の翻案権を侵害することになるが、このような場合にも「二次的著作」は依然として著作権法の保護を受けることができるのであろうか? 検察官の不起訴処分又は法院の判決には、著作権を侵害する創作は著作権法により保護されないとし、そうでなければ権利侵害を助長するとしたものがある。例えば、台北地方法院検察署第84年偵字第25578不起訴処分書及び台湾高等法院83年度上訴字第5996号刑事判決及び最高法院87年度台上字第1413号民事判決がこのような見解を採っている。しかしながら、著作権法の創作を保護するという立場から考えれば、そこに知的活動が存在しさえすれば、著作権法により保護されるべきであって、二次的著作の保護と原著作の翻案権の侵害とは別問題であり、著作権法が他人の著作権を侵害する翻案行為に対してその新たに誕生した二次的著作は著作権を享有しない旨明文により規定していない限り、同列に論ずるべきではない。智慧財産法院105年度刑智上訴字第7号刑事判決及び最高法院106年度台上字第290号民事判決はこの見解を採っており、妥当である。

2017年原文修正により一部修正