民事事件が法院に係属し、判決確定前に調停が成立し法院の承認を経た場合は、調停の成立時に訴えを取り下げたものとみなす。
刑事事件において、捜査中又は第一審法院の弁論終結前に調停が成立し、法院の承認を経て、かつ当事者が取り下げに同意した場合は、調停成立時に告訴又は自訴を取り下げたものとみなす。

【解説】

本条は、調停と民刑事訴訟の関係を規定している。法院の承認を経た著作権紛争調停は確定判決と同一の効果を有する。従って、民事事件が法院に係属し、判決確定前に調停が成立し、かつ法院の承認を経た場合は、当該調停は確定判決の効果を生じる以上、元の民事訴訟を再び行うことはできない。これは司法資源の節約となるだけでなく、2つの異なる判決結果が出現することをも回避している。本条第1項は、「調停成立時に訴えを取り下げたものとみなす」と明文規定を設けることで、民事訴訟を終結させるものとした。

刑事訴訟の面においては、第82条第2項の規定により、著作権紛争の調停が刑事に及ぶ場合は親告罪事件に限定され、刑事訴訟法第283条及び第325条の規定に基づき、親告罪における告訴人又は自訴人は、第一審弁論の終結前その告訴又は自訴を取り下げることができる。告訴又は自訴を取り下げた者は、再び告訴又は自訴を行うことはできない。従って、第2項は、刑事事件の捜査中又は第一審法院の弁論終結前に調停が成立し、法院の承認を経て、かつ当事者が取り下げに同意した場合には、調停成立時に告訴又は自訴を取り下げたものとみなされ、当該刑事訴訟手続を終結させるものと規定した。