無断で所有権移転により著作の原作品又はその複製物を頒布し他人の著作財産権を侵害した者は、3年以下の有期懲役、拘留若しくはニュー台湾ド ル 50万元以下の罰金に処し、又は罰金を併科する。
著作財産権を侵害している複製物であることを知りながらこれを頒布又は頒布の目的をもって公開陳列若しくは所持した者は、3年以下の有期懲役に処し、 ニュー 台湾ドル7万元以上75万元以下の罰金を併科することができる。
前項の罪を犯した者は、その複製物が光ディスクである場合、6月以上3年以下の有期懲役に処し、ニュー台湾ドル20万元以上200万元以下の罰金を併科することができる。ただし、第87条第4号の規定に違反する光ディスクの輸入は、この限りでない。
前二項の罪を犯した者が、その物品の出所を供述しこれにより検挙された場合は、その刑を減軽することができる。

【解説】

本条は、譲渡権侵害及び海賊版製品の頒布の刑事責任について規定し、光ディスクと光ディスク以外の違法コピーに対してそれぞれ異なる処罰を設けている。

第1項は一般の譲渡権侵害、即ち第28条の1に規定される譲渡権の侵害について規定し、刑罰は比較的軽く、3年以下の有期懲役、拘留、若しくはニュー台湾ドル50万元以下の罰金、又は罰金を併科するとしている。この規定の適用範囲は「所有権移転の方法により著作の原作品又は複製物を頒布する場合」に限定され、これらの複製物は必ず著作財産権者の同意を得て複製されたものであり、海賊版製品は含まれないが、第87条第1項第4号に違反し並行輸入された真正品は含まれる。台湾において所有権移転された正規版製品について、その後所有権が移転し第59条の1に基づき正規版所有者が物権を行使した場合に、譲渡権者の譲渡権は制限を受けるが、本項に基づき侵害されたと主張することはできない。

第2項は、著作財産権を侵害している複製物であることを知りながらこれを頒布又は頒布の目的をもって公開陳列若しくは所持した者は、3年以下の有期懲役に処し、 ニュー 台湾ドル7万元以上75万元以下の罰金を併科することができる旨規定している。この条項にいう「物」とは、著作財産権者の許諾を得ず複製された海賊版製品であり、他人が作成した海賊版に限定されず、頒布者自身が作成した海賊版も含まれ、行為者はそれが海賊版であることを知っていたことが要件となる。本条項により処罰される場合には、次の3つの行為が挙げられる。①頒布②頒布の目的をもって公開陳列する③頒布の目的をもって所持する。

第2項の「頒布」は、前項にいう「所有権移転の方法による頒布」ではなく、第3条第1項第12号の「頒布」の定義、即ち「有償又は無償であるかを問わず、著作の原作品又は複製物を公衆の取引若しくは流通に供すること」が適用されることから、販売、交換及び「所有権移転の方法によらない頒布」である賃貸又は無償貸与も含まれる。従って、許諾を得ず、海賊版製品であることを知りながらあえて賃貸した場合、第92条の規定ではなく本項が適用される。また、第87条第1項各号は第91条の1の補充条項であることから、許諾を得ず、海賊版製品であることを知りながらあえて無償貸与した場合にも、第93条第3号の規定ではなく本項が適用される。その他、海賊版製品であることを知りながら頒布の目的をもって公開陳列又は所持した者は第87条第1項第6号の規定に違反していることになるが、第93条第3号但書において適用が排除される旨明文で規定されていることから、本条項が適用される。

第91条第3項が海賊版光ディスクに対して処罰を加重しているように、本条の第3項も著作財産権を侵害する複製光ディスクであることを知りながらこれを頒布又は頒布の目的をもって公開陳列若しくは所持した者は、6月以上3年以下の有期懲役に処し、ニュー台湾ドル20万元以上200万元以下の罰金を併科することができる旨規定している。第87条第1項第4号の規定に違反し光ディスクを輸入した場合は、第1項の処罰がカバーしていることから、但書により排除されている。

犯罪者の反省を促し海賊版の本拠地を一掃するために、前2項の罪を犯しその物品の出所を供述し、それにより侵害者が検挙された場合には、第4項は特別にその刑を軽減する旨規定している。

2009年5月22日原文修正に伴い訳文修正