第91条から第93条、第95条から第96条の1の罪を犯し、犯罪に用いられた物又は犯罪により取得した物は、これを没収することができる。ただし、第91条第3 項及び第91条の1第3項の罪を犯した場合、その没収できる物は犯罪者に帰属する物に限られるものではない。
【解説】
本条は、著作権侵害の附加刑としての没収について規定している。
刑法第38条第1項第2号及び第3号の規定に基づき、「犯罪の実行又は犯罪の予備に用いられた物」又は「犯罪により生じた物又は獲得した物」は、犯罪行為者に帰属する場合に限り没収することができる。ただし、特別規定が設けられている場合にはその規定による。本条本文は「第91条から第93条、第95条から第96条の1の罪を犯し、犯罪に用いられた物又は犯罪により取得した物は、これを没収することができる。」と規定しており、刑法第38条第3項本文の原則規定を重複して言明しているにすぎず、これら没収することができる物は「犯罪行為者に帰属するものに限定」される。ポイントは、本条但書の明文により、刑法第38条第3項但書にいう「特別規定」として、第91条第3 項 及び第91条の1第3項の罪を犯した場合に没収することができる物は犯罪者に帰属する物に限られないとされていることにある。これは主として、海賊版光ディスクの著作財産権者に対する侵害結果は深刻であり、それを市場から隔離する必要があることから、特別な手段による処理を設け、犯罪者の所有物であるか否かにかかわらずすべて一律に没収するものとした。
刑法第38条第1項第2号及び第3号に規定される「犯罪の予備に用いられた物」及び「犯罪により発生した物」は本条には含まれていないため、これらに関連する物は本条の範囲外であるが、刑法第38条第1項第2号及び第3号の規定により没収することができる。
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