第91条第3項又は第91条の1第3項の罪を犯し、その行為者が逃亡し確認する方法がない場合は、犯罪に用いられた物又は犯罪により取得した物は、司法警察機関は直接没取することができる。
前項の没取物は、没取金が国庫に納められるほかはこれを廃棄する。その廃棄又は没取金の処理手続は社会秩序維持保護法の関係規定を準用し実施する。
【解説】
本条は「良心箱」条項と称されるもので、警察機関が夜店の海賊版販売所を取り締まる際の困難を解決するものである。
前条は刑罰における「附加刑」である没収に関する規定であるが、法院が行為者に対して有罪判決の「主刑」を言い渡す際に、附加刑として没収に処することは司法機関の権限である。「没取」とは行政罰であり、行政機関が「物」に対して行う行政処罰である。
一般的に夜店で海賊版光ディスクを販売する場合、警察の取り締まりを避けるために、多くは海賊版光ディスクを露店に並べ現場には「良心箱」を設置するだけであって、消費者は海賊版光ディスクの購入価格に基づき自ら金銭を箱の中に投入し、販売者はその付近から遠目に監視し、消費者が代金を投入しなかった場合又は閉店時に初めて海賊版販売露店に姿を現す。警察が現場にて海賊版物品を押収しても、所有者が見つからないために、法に基づき刑罰を科し移送することができない。また、これらの海賊版光ディスクを没収する方法もないため、遺失物又は無主物として手続を行うしかなく、時間の無駄と行政資源の浪費である。本条は、海賊版光ディスク又は海賊版光ディスクの販売に対し、その行為者が逃走し確認することができない場合に、犯罪に用い又は犯罪により取得した物品を司法警察機関が直接没取することができる旨明文規定を設け、没取金が国庫に納められるほかは没取された物品は破棄されることにより、夜店の海賊版販売業者が「良心箱」を設置し消費者自らに代金投入と商品受領を委ね、警察の取り締まりを回避する脱法行為を解決している。
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