以下に掲げる規定に該当するインターネット・サービス・プロバイダは、第90条の5から第90条の8の規定を適用する。

(1)契約、電子送信、自動探索システム又はその他の方法により、ユーザにその著作権又は製版権保護措置を告知し、且つ当該保護措置を確実に履行している。

(2)契約、電子送信、自動探索システム又はその他の方法により、ユーザに権利侵害事実が3回あった場合、全部又は一部のサービスを終了することを告知している。

(3)通知文書受取の連絡窓口情報を公告している。

(4)第3項の通用認証又は保護技術措置を実施している。

コネクション・サービス・プロバイダが著作権者又は製版権者からユーザの行為が権利侵害行為であるとの通知を受けた後、当該通知を電子メールの方法により当該ユーザに転送した場合、前項第1号の定めに該当するものとみなす。

著作権者又は製版権者が著作権又は製版権保護のための通用認証又は保護技術措置を提供し、主務官庁の許可を得ているものにあっては、インターネット・サービス・プロバイダはこの実施に協力しなければならない。

【解説】

インターネット・サービス・プロバイダ(Internet Service Providers, ISP)は、ユーザがそのサービスを利用して著作権を侵害した事件に対して法的責任を負わなければならないのか否か個々の事件において認定され、次の要素、即ち(1)実際の侵害者がISPの提供するサービスを利用して侵害したという事実(2)インターネット使用の匿名性(3)ISPとユーザの密接な関係性(4)ISPという根源から取り締まることは権利侵害阻止の最も有効的な方法である、というだけでISPはしばしばユーザの著作権又は製版権侵害行為により訴訟に巻き込まれた。

ISPが随時提訴されることを避け、且つインターネット上の著作権又は製版権侵害の拡大と氾濫を阻止し、スムーズなインターネットサービスを促進し、公衆のインターネット活動に有益となるよう、2009年5月の改正著作権法は、第6章の1「インターネット・サービス・プロバイダの民事免責事由」を新設し、「インターネット・サービス・プロバイダのセーフハーバー」を確立し、ISPが本法に定める共通及び特別規定の要求を満たす場合には、そのユーザが他人の著作権又は製版権を侵害する行為に対して賠償責任を負わないものとし、また一方でISPが本法の所定の手続に従って一定の行為を実施したことによってそのユーザに生じた損害に対しても、賠償責任を負わないものとした。

本条は、米国DMCA第512条(i)(1)の立法例を参考にしており、4種類のISPが「セーフハーバー」に入る共通条件を明確に規定している。本条の規定に該当して初めて、第90条の5から第90条の8に定める各種インターネット・サービス・プロバイダの各免責要件が適用される。

(一) 契約、電子送信、自動探索システム又はその他の方法により、ユーザにその著作権又は製版権保護措置を告知し、且つ当該保護措置を確実に履行している。
このほか、コネクション・サービス・プロバイダが積極的にインターネット上の権利侵害行為の防止・制止に協力することを奨励するために、特に第2項において、著作権者又は製版権者からユーザの行為が権利侵害行為であるとの通知を受けた後、当該通知を電子メールの方法により当該ユーザに転送した場合、前項第1号の定めに該当するものとみなす旨規定している。コネクション・サービス・プロバイダだけが本項の定めにより「転送」義務を負わず、たとえ転送に協力しなかったとしても、著作権又は製版権保護措置を確実に履行しているその他の事実が存在すれば、本号が適用される。いわゆる「契約」とは、ISP業者の著作権又は製版権保護措置を約款に盛り込み、且つ確実に実施していることをいう。いわゆる「電子送信」とは、例えば、ユーザが情報をアップロード又は共有する際に、システムが自動的に適法に使用しなければならないとのウィンドウが開くことをいう。いわゆる「自動探索システム」とは、例えば、著作権又は製版権を侵害するコンテンツを探索又はフィルタリングするプログラム又はシステムをいう。いわゆる「その他の方法」とは、例えば通報専用ラインの設置をいう。

(二) 契約、電子送信、自動探索システム又はその他の方法により、ユーザに権利侵害事実が3回あった場合、全部又は一部のサービスを終了することを告知している。
これは、いわゆる「三振条項(Three Strike Out)」である。本号は単に「ユーザに告知する」ことだけを規定し、全部又は一部のサービスの終了の実行にまで及ばないようであるので、「告知」しているがまだ実際に実行していなくても「セーフハーバー」に該当するのか、疑問がないわけではない。

(三) 通知文書受取の連絡窓口情報を公告している。
これは、著作権者又は製版権者が通知を提出するため、又はユーザが回復通知を提出するための便宜を図るものであり、処理効率を高めるものである。

(四) 著作権者又は製版権者が提供し、主務官庁の許可を得ている著作権又は製版権を保護するための通用認証又は保護技術措置を実施している。
いわゆる「通用」とは、これらの認証又は保護技術措置が著作権者、製版権者及びISP業者の間に広く普及しているとの前提の下、開発完成し採用されたものでなければならない。本号の主務官庁が許可した通用認証又は保護技術措置でなければ、ISP業者は実施に協力する必要はなく、前述の三号の要件を満たしさえすれば、本章の民事免責規定が適用される。

本来、第90条の4第3項本文の通用認証又は保護措置部分に関して、行政院の草案は「著作権者又は製版権者が著作権又は製版権保護のための通用認証又は保護技術措置を提供しているものにあっては、インターネット・サービス・プロバイダはこの実施に協力しなければならない。」と規定し、さらにコンテンツ認証(CRT)は現在、技術及びビジネスモデル上、まだ成熟していないため、ISP業者に完全に協力することを要求することは不適切ではないかとの疑問があったため、但書において「但し、インターネット・サービス・プロバイダに不合理な負担を課す場合には、この限りでない」と規定していた。著作権者の中には、この但書は「認証又は保護技術措置の実施は空文化するおそれがあり、またこの類の不確定な法律概念を法院が適用する際には一定の解釈空間が存在し、法律の抜け穴が生ずるのではないか」と考える者もいたため、立法委員丁守中の提案により、「著作権者又は製版権者が著作権又は製版権保護のための通用認証又は保護技術措置を提供し、『主務官庁の許可を得ているものにあっては』、インターネット・サービス・プロバイダはこの実施に協力しなければならない」と修正され、主務官庁がCRTの審査に介入することとし、バランスが保たれるよう期待されている。

2011年2月23日用語統一のため修正