事業が公開送信の方法により第91条、第92条及び第93条第4号の罪を犯し法院の有罪判決を受けた場合は、その行為を速やかに停止しなければならない。行為を停止せず、主務官庁が専門家、学者及び関連業者を召集し、侵害情状が重く著作財産権者の権益に深刻な影響を及ぼしていると認められた場合には、主務官庁は1月以内の是正期間を与え、なおも期限までに是正しなかった場合には営業停止又は強制廃業を命ずることができる。

【解説】

本条は特にネットワーク事業の著作権侵害に対して、法院の判決後確定を待たずして行政機関による行政権の介入により権利侵害の継続又は拡大を防止することについて規定している。行為が刑罰規定に違反するか否かは、本来法院の判決が確定しなければ有罪行為であるとは認められないが、ネットワークにおける権利侵害行為の範囲は非常に広範に及び、法院の判決が確定しなければ差し止めることができないのであれば、将来著作権者に補填することができない損失を与えることとなる。2005年9月、台北地方法院刑事法廷はKuro事件(台北地方法院92(2003)年度2146号判決)において、被告がKuroソフトウエア及びプラットフォームサービスを提供することによりネットワークユーザーによるMP3音楽データのダウンロードに供したことは複製権侵害の共同正犯であると判決したが、判決後被告は依然として当該ネットワークサービスを営業し続け、速やかに停止しなかった。本条はこのような事例について、公開送信の方法により第91条、第92条及び第93条第4号の罪を犯した如何なる事業も、法院の有罪判決を受けた後確定を待たず自主的に侵害行為を停止すべきであるが、自主的に停止しない場合主務官庁は積極的に介入することができるものとし、事業に1月以内の是正期間を与え、期限までに是正しなかった場合は営業停止又は営業廃止を命ずることができると明確に規定した。主務官庁による権利濫用を防止するために、本条は、主務官庁による行政介入権の発動前に学者及び関連業者を召集し共同検討を行うことを特に要求し、その結果、侵害情状が重く著作権者の権益に深刻な影響を与えていると認められた上で初めて是正、営業停止又は営業停止を命ずることができるものとした。

本条は、公開送信の方法により第91条、第92条及び第93条第4号の罪を犯した場合であることを明確に規定しているが、有罪判決を受けた罪名は公開送信権侵害罪に限定されるものではなく、第91条、第92条及び第93条第4号に規定される如何なる侵害行為もこれに含まれる。

本条は、第91条、第92条及び第93条第4号の罪を犯し法院の有罪判決を受け侵害行為を停止しなかった場合に、主務官庁は行政介入権を発動することができると規定している以上、法院の民事判決により著作権侵害行為に該当するとされた行為について、判決確定前においては民事保全手続に基づき担保を提供した上で仮処分を申請し、行為者に侵害の停止を要求することができるにすぎず、本条に基づき主務官庁の介入を申請することはできない。