著作者が死亡又は消滅した場合、その著作者人格権の保護については、生存若しくは存続しているものとして、如何なる者も侵害してはならない。ただし、利用行為の性質及び程度、社会変動又はその他の事情により当該著作者の意思に反しないと認められる場合には、侵害とはならない。

【解説】

ベルヌ条約第6条の1第2項は、著作者人格権の保護期間は、少なくとも著作財産権同様の期間を要すると規定している。理論上、著作者人格権は著作者の死亡又は消滅により満了するが、著作者人格権と著作内容の完全性及び著作者の確認には重大な関連性があり、これは、公衆が完全な著作にアクセスすること及び誰が著作者であるかを確認することに対して相応の利益を有していることから、著作財産権の保護期間が満了しているか否か、又は自然人である著作者が死亡しているか否か、又は法人である著作者が消滅しているか否かにより影響を受けるべきではない。本条は、著作者の死亡又は消滅後においても、その著作者人格権の保護に関して依然として生存又は存続しているものとして如何なる者もこれを侵害してはならないと規定している。ただし、他方で著作者の意思を考慮して、利用行為の性質及び程度、社会変動又はその他の事情により当該著作者の意思に反しないと認められる場合には、著作者人格権の侵害とは認められない。

著作者の死亡後、その者の生前において未公表の著作を公開することは、著作者人格権のうち公開発表権の侵害に抵触するのかについては、本条但書に定められた「利用行為の性質及び程度、社会変動又はその他の事情」により当該著作者の意思に反しないか否かを判断した上で、侵害に該当するか否か決定されることとなる。