変名による著作又は無名の著作の著作財産権は、著作の公開発表後50年間存続する。ただし、その著作者の死後50年を経過していることが証明できる場合には、その著作財産権は消滅する。
前項の規定は著作者の変名が公衆に周知されている場合には適用しない。

【解説】

著作財産権の存続期間は、原則的に著作者の生存期間及びその死後50年間である。変名著作又は無名の著作にあっては、著作者の死亡時期が不明であるため著作財産権の存続期間が計算できないことから、特別に「著作の公開発表後50年間存続する」ものと規定した。ただし、誰による創作なのか不明であっても当該著作者の死後50年を経過していることが証明できる場合には、著作財産権の最長保護期間は「著作者の生存期間及びその死後50年」を超えないという原則を徹底するために、法律は著作財産権を消滅させる旨規定した。

いわゆる「変名著作」とは、現実において著作者の本名ではなく「ペンネーム」により表示された著作をいい、この著作者の変名が公衆において特定の著作者であることが周知されている場合には、当該著作者の生存期間に基づき著作財産権の存続期間を計算することができることから、第1項の特別規定は適用されないものとした。第2項は「変名の著作」に対してのみ適用され、「無名の著作」の著作者が公衆において周知されている場合、例えば、某新聞の社説が長期にわたって某氏により執筆され、公表の際終始無名であったような場合には、第1項の規定が適用され「公開発表後50年間存続」し、第30条の「著作者の生存期間及び死後50年間」の原則規定は適用されない。