著作財産権は、存続期間の満了により消滅する。存続期間内において次の各号のいずれかに該当する場合も同様とする。

(1) 著作財産権者が死亡し、その著作財産権が法により国庫に帰属する場合。
(2) 著作財産権者が法人であり、その消滅後、その著作財産権が法により地方自治団体に帰属する場合。

【解説】

原則的に著作財産権は、第30条から第34条に規定される存続期間の満了により消滅する。ただし、上述の条文の規定に基づき、2つの特別な事情がある場合、即ち、著作財産権の存続期間内であるが原著作財産権者がすでに死亡又は消滅しかつその権利を承継することができる利害関係者もない場合に、公衆の自由な利用に資するために法律は当該著作財産権を消滅させることを特に規定した。

著作財産権者が死亡すれば、その著作財産権は本来その相続人に相続されるが、相続可能な相続人がない場合は民法の規定に基づき国庫に帰属するため、この場合、国家が著作財産権を行使するよりも公衆に開放し自由に利用させたほうがよく、現に実現可能であることから、本条第1号は当該著作財産権は消滅するものと規定した。同様の理論により、著作財産権者が法人である場合も、その消滅後著作財産権が処分されておらず民法に基づき地方自治体に帰属する場合、第2号は著作財産権は消滅するものと規定した。

著作財産権者が法人であり著作財産権の存続期間中に法人が消滅した場合であって、その著作財産権が法人の消滅前に売却又は贈与等の譲渡により処分済みであり譲受人がその著作財産権を承継する場合には、当該著作は法人の消滅により必然的にパブリックドメインとなるものではない。著作財産権の存続期間中に法人が消滅し法人の消滅前に処分が行われていないという前提の下、法人が消滅しその著作財産権の承継者がないため当該著作が民法に基づき地方自治体に帰属する場合に初めて、前述の著作権法第42条第2号の規定に基づき著作財産権は消滅し、パブリックドメインとなる。従って、会社の解散登記後、その享有する著作財産権は、会社の解散により当然には消滅しない。解散後、合併、分割、破産又は清算手続に基づき、著作財産権の承継又は譲渡によりその帰属が確定せず、会社(法人)人格が消滅した後、その著作財産権が法に基づき地方自治団体に帰属したとき、その著作財産権は消滅する。

2009年4月2日 原文修正に伴い訳文修正