放送、撮影、録画、新聞、インターネット又はその他の方法による時事報道は、その報道の必要範囲内において、その報道過程において接触した著作を利用することができる。
【解説】
本条は、時事報道の適正な利用について規定している。利用の主観面においては全く制限がなく、「時事報道」の目的に該当しさえすれば誰でもこれを行うことができる。いわゆる「時事報道」とは、その時にあった事実を単純に報道することをいい、ニュース時事を別途ニュース番組として制作すること、即ち、ニュース事件の特別報道、評論等を制作することは、本条にいう「時事報道」の態様には該当しない。ただし、第52条の適正な利用に関する規定に基づき、報道の必要のために適正な範囲内においてすでに公表された著作を「引用」することは可能である。
本条の適正な利用においては「放送、撮影、録画、新聞、インターネット又はその他の方法」が含まれ、第22条から第28条に規定される各種の利用方法に及ぶものと解される。その利用範囲は「報道の必要範囲内」であることを要する。例えば、ある舞踏団の公演が本日劇場で行われることについては、数分間演出内容を録音放送しニュースの伝達目的を果たすことはできるが、数十分に及ぶ長い録音放送であるならば「報道の必要範囲内」を明らかに超えており、適正な利用とは認められない。本条において利用可能な対象にはあらゆる報道過程において接触した著作が含まれ、その発行の有無は問われない。これは明らかにニュース伝達における「知る権利」の保護であり、著作者の公開発表権に優越する。しかし、その利用が「報道の必要範囲内」であるか否かの認定において、著作の発行の有無は考慮されなければならない。
本条に基づく利用方法については、本条に規定される「放送、撮影、録画、新聞、インターネット又はその他の方法」による行為のほか、第63条第1項及び第3項の規定により「翻訳」及び「頒布」を行うことができるが、第64条の規定に基づき、著作者人格権を尊重し、出典を明記しなければならない。
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