著作権専属責任機関は著作権審議調停委員会を設置し、次の各号に掲げる業務を担当させるものとする。
(1) 第47条第4項に規定する使用報酬料率の審議。
(2) 著作権集中管理団体と利用者の間で使用報酬料率について紛争が生じた場合の調停。
(3) 著作権又は製版権にかかる紛争の調停。
(4) その他著作権審議及び調停に関するコンサルティング。

前項第3号に定める紛争の調停は、それが刑事責任に及ぶものは親告罪事件に限定するものとする。

【解説】

本条は、著作権専属責任機関は著作権審議調停委員会を設置しこれに関連する審議、調停及びコンサルティングを行うことを規定し、その職権には次のものが含まれる。(1)第47条第4項に規定する教科書が著作を使用する際の法定使用報酬料率の審議(2)著作権集中管理団体と利用者の間で使用報酬料率について紛争が生じた場合の調停(3)著作権又は製版権にかかる紛争の調停(4)その他著作権審議及び調停に関するコンサルティング。そのうち、著作権又は製版権に関する紛争の調停は、それが刑事責任に及ぶものは親告罪に限定される。なぜなら、非親告罪については、仮に調停に成功したとしても、告訴の取り下げにより刑事責任は免除されないからである。

本条第1項第1号後段にはもともと著作権仲介団体の使用報酬料率の審議も含まれていたが、これらの文言は2001年の改正時に削除された。ただし、著作権仲介団体条例の使用報酬料率に関する規定はその際に改正に伴い削除されず、経済部智慧財産局は引き続き著作権仲介団条例第4条第4項及び第15条第7項の規定に基づき著作権仲介団体が取り決める使用報酬料率を審議したため、著作権専属責任機関が設置した著作権審議調停委員会は著作権仲介団体の使用報酬料率の審議をすべきか否かの論争を招き、2009年11月19日の最高行政法院98年度判字第1370号判決により、初めてその合法性が確認された。

著作権審議調停委員会の職権は、本条の規定及び経済部智慧財産局著作権審議調停委員会組織規程のほか、実際の執行上、2010年2月10日に改正・公布された著作権集中管理団体条例の規定に注意しなければならない。

著作権集中管理団体条例第25条第4項、第26条第2項及び第30条第5項は、著作権専属責任機関は次のとおり規定している。著作権専属責任機関は、利用者の集中管理団体が取り決めた使用報酬率に対する異議を理由とした審議申立について、著作権審議調停委員会に諮問しなければならない。利用者が使用報酬率の定めがもともとない、又は使用報酬率の約定がもともとないために著作権専属責任機関に暫定支払の査定を申請した場合、著作権専属責任機関は査定前に、著作権審議調停委員会に諮問することができる。著作権専属責任機関は、共同使用報酬率の決定に対して、利用者及び著作権審議調停委員会に諮問しなければならない。当該使用報酬率の審議、確定又は決定権は、経済部智慧財産局に帰属又は増設され、著作権審議及び調停委員会は、智慧財産局の審議過程又は査定、決定前に、諮問の役割を果たすに過ぎず、料率に対し審議、査定又は決定を行う権限を有さない。利用者が第26条に基づき経済部智慧財産局に暫定支払の査定を申請した場合、経済部智慧財産局は、たとえ著作権審議調停委員会の意見が得られなかったとしても、直接査定することができる。

著作権審議調停委員会の任務は、本条文、著作権集中管理団体条例第25条第4項、第26条第2項及び第30条第5項の規定に基づき定められ、これには、審議、調停及び諮問が含まれる。審議面では、第47条第4項の教科書に著作を利用することに関する法定授権使用報酬率の審議に限られ、諮問面では、著作権集中管理団体条例第25条第4項、第26条第2項及び第30条第5項が定める経済部智慧財産局の料率に対する審議、査定又は決定の諮問をいい、又は本条第1項第4号に基づく智慧財産局のその他の著作権審議調停に対する諮問をいい、本条第1項第1号から第3号の料率に関する審議又は紛争の調停とは異なり、諮問結果は経済部智慧財産局に参考意見として提供するに過ぎず、経済部智慧財産局に対して拘束力を全く有さない。如何なる審議、査定又は決定の結果もすべて経済部智慧財産局が著作権審議調停委員会の意見を参考にして行った行政処分であり、著作権審議調停委員会の決定ではない。従って、諮問意見は必須であり且つ必然的に多元的であり、実際上、決議によりこれをなす必要はなく、法律上も諮問は必ず決議によって行わなければならないとの根拠は存在しない。経済部智慧財産局は著作権審議調停委員会に諮問意見を求めた後、諮問意見の拘束を受けず、独立して行政処分を行い、自らその責任を負う。

著作権集中管理団体条例第25条第13項は、第4項の著作権審議調停委員会の委員は、機関代表、学者、専門家、権利者及び利用者が含まれなければならないと明確に規定している。この内容は、権利者団体の遊説によれば無党団結連盟党団(いかなる党派にも属さない立法委員の団体)が提出したとのことであるが、私は不適切であると考える。なぜなら著作権審議調停委員会は専門組織であり、経済部智慧財産局に専門的な意見を提供するものであり、一般の公聴会又は異なる利益を代表する対抗性の組織とは異なる。事実上、機関代表、学者及び専門家は、それ自身が権利者及び利用者を兼ねており、諮問意見を提供する際、必然的に権利者及び利用者のバランスを考慮するが、当該条項は特に権利者及び利用者までも委員に列挙しており、これはむやみに混乱を生じさせているだけである。それは第25条第4項の著作権審議調停委員会に限られており、第26条第2項及び第3条第5項に定める著作権審議調停委員会の委員は除かれており、顕著に奇異な感じを受けるものである。

著作権審議調停委員会は、各項目の紛争の調停について、著作権紛争調停弁法に基づき処理しなければならない。

2010年8月4日 原文修正に伴ない訳文修正