第85条及び第88条の損害賠償請求権は、請求権者が損害の発生及び賠償義務を負う者を知った時から2年間行使しなければ消滅する。権利侵害行為発生時から10年を経過した場合も同様とする。

【解説】

民法第197条第1項は、「権利侵害行為により生じた損害賠償請求権は、請求権者が損害の発生及び賠償義務を負う者を知った時から2年間行使しない場合は消滅する。権利侵害行為発生時から10年を経過した場合も同様とする。」と規定している。本法は特に当該条文に倣って、本条において第85条及び第88条の損害賠償請求権は請求権者が損害又は賠償義務を負う者を知った時から2年間行使しない場合は消滅するものとし、権利侵害行為があった時から10年を経過した場合も同様であるとした。また、民法第197条第2項は、「損害賠償義務を負う者は、侵害行為により利益を得て被害者に損害を与えた場合は、前項の時効完成後、不当利得に関する規定に従い侵害行為により得た利益を被害者に返還しなければならない。」と規定している。本法は同様の規定を設けていないが、民法は著作権法の一般法であるため、著作権法において相反する規定が存在しない以上、本条に定められる損害賠償請求権の時効が完成し権利が消滅した後でも、権利者は民法第197条第2項の規定により、損害賠償義務を負う者に対して権利侵害行為により得た利益について、不当利得に関する規定に基づき、その獲得した利益の返還を請求することができる。