著作者の著作権にかかる権益を保護し、社会の公共利益と調和させ、国家の文化発展を促進するために、本法を制定する。本法に定めのない事項は、その他の法律の規定を適用する。

【解説】

本条は、台湾著作権法の立法目的を説明するものであり、主として、著作者の著作権にかかる権益の保護、社会の公共利益との調和及び国家の文化発展の3つに区分することができる。
著作者の著作権にかかる権益を保護するという視点からは、著作者人格権(第15条から第21条)及び著作財産権(第22条から第29条)の内容及び期間、権利侵害者の民事及び刑事責任(第6章及び第7章)を規定し、著作権者の著作権にかかる権益を権利侵害から保護している。社会公共利益との調和の視点からは、著作権の目的とすることができないもの(第9条)、著作権法の保護対象は「表現」であり、「思想、感情そのもの」は保護対象ではないこと(第10条の1)、著作財産権の制限 (適正な利用)(第44条から第65条)、強制許諾(第69条から第71条)等を規定している。「著作者の著作権にかかる権益の保護」及び「社会の公共利益との調和」を基礎として、国家の文化発展を促進するという著作権法の終極的な目標が促進されることとなる。

簡単に説明すると、著作権法の本質的な目的は、法により著作者の権利を保護するという手段を用いて、より質の高い著作をより多くより創作能力を有する者に創作させることを促すと同時に、法により著作者の権利を制限し、創作活動の独占を回避し、公衆が広く一般に人類の知的活動の結晶を互いに分かち合えるようにし、国家の文化を向上させることにある。

著作権法は民法・刑法の特別法であり、著作権法に定めのない事項は民法と刑法の規定が適用され、著作権法に特別の定めがある事項については本条の規定に従い、その他の法律の適用が排除される。例えば、期間の終了については、民法第121条において「最終年の起算日の前日をもって期間の末日とする」と規定されているが、本法第35条は、著作財産権の存続期間について「当該期間が満了する年の末日をもって期間の終了とする。」と特別に規定しており、両者は明らかに相違する。本法に定めのない事項は、その他の法律の規定が適用される。例えば、本法は著作者を自然人に限定していないことから、民法の規定に基づき、著作者には自然人と法人とが含まれる。