著作権者が施した権利管理情報は、移動削除又は変更をしてはならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合はこの限りでない。

(1) 行為時の技術的な制限により、著作権管理情報を移動削除又は変更しなければ著作を適法に利用することができなくなる場合。
(2) 録音製作又は送信システム変換時に、その送信変換技術上必要となる移動削除又は変更を行う場合。

著作権管理情報が非合法に移動削除又は変更されたものであることを知りながら、当該著作の原作品若しくはその複製物を頒布又は頒布の意図をもって輸入若しくは所持並びに公開放送、公開演出又は公開送信をしてはならない。

【解説】

本条は、権利管理情報の保護に関する規定である。権利管理情報の保護は、第80条の2の「技術的保護手段の保護」と同様に電子化された著作権商品に対する特別保護であり、著作権の一種ではない。これは、著作権者に著作権以外に特別に付与された著作の保護方法である。いわゆる「権利管理情報」とは、第3条第1項第17号の定義によれば、「著作の原作品若しくはその複製物において又は著作が公衆に伝達される際の著作、著作名称、著作者、著作財産権者又は許諾を得た者を特定するに足りる表示及び利用期間又は条件に関する電子情報をいう。数字、符号表示によるこの類の情報を含む」ものである。

かつて著作を有体物であるその複製物により頒布利用していた時代の、書籍1冊又は録音テープ1巻の著作権記載事項の削除又は改ざんにおいては、当該特定の著作の複製物においてのみ削除又は改ざん効果が単独に生じ、その他の書籍又は録音テープの著作権記載事項にはこれによる削除又は改ざんが及ばないことから、著作権者の権利に対してあまり大きな影響を及ぼさなかった。しかるに、インターネットデジタル環境下において著作権者は、著作をネット上にアップロードし、常時著作に「権利管理情報」を付し、利用者に著作の利用過程において著作を確認させ、著作名称、著作者、著作財産権者又はそのライセンシー及び利用期間又は条件を知らせた上で著作の利用又は著作権の譲渡若しくはライセンスの交渉を行うことができるようにさせたことから、この情報が削除又は改ざんされた場合には、後に当該著作にアクセスした者は著作権者が講じた正確な「権利管理情報」を得ることができず、全面的なダメージを受ける。従って、「権利管理情報」の完全性を確保することが必要であり、本条はWCT第12条、WPPT第19条、EU2001年著作権ディレクティブ第7条、米国著作権法第1202条及び日本著作権法第2条第1項第21号の規定を参考にし、著作権者が講じた権利管理情報の移動削除又は変更を禁止し、権利管理情報が非合法に移動削除又は変更されたものであることを知りながら当該著作の原作品若しくはその複製物を頒布又は頒布の意図 をもって輸入若しくは所持並びに公開放送、公開演出又は公開送信をしてはならないと規定した。違反した場合には、第96条の1に基づき1年以下の有期懲役及び25万元以下の罰金に処せられ、第90条の3に基づき、併せて民事上の損害賠償責任を負わなければならない。