本法にいう著作を例示すると次のとおりである。

(1) 言語著作
(2) 音楽著作
(3) 演劇、舞踏著作
(4) 美術著作
(5) 撮影著作
(6) 図形著作
(7) 視聴覚著作
(8) 録音著作
(9) 建築著作
(10) コンピュータプログラム著作

前項各号の著作の例示、内容は、主務官庁により制定する。

【解説】

著作権法が保護する著作の種類は、第5条第1項各号及び第7条の1の規定に従って分類され、少なくとも11種類ある。著作権法の主務官庁において公布された「著作権法第5条第1項各号の著作内容の例示」によれば、次のように分類される。
(1) 言語著作:詩、詞、散文、小説、脚本、学術論述、講演その他の言語著作が含まれる。
(2) 音楽著作:楽譜、歌詞及びその他の音楽著作が含まれる。
(3) 演劇、舞踏著作:舞踏、パントマイム、オペラ、新劇及びその他の演劇、舞踏著作が含まれる。
(4) 美術著作:絵画、版画、漫画、コマ漫画(アニメーション)、素描、法帖(カリグラフィー)、タイプフェース、彫刻、美術工芸品及びその他の美術著作が含まれる。
(5) 撮影著作:写真、スライド写真及びその他撮影の手段により創作される著作が含まれる。
(6) 図形著作:地図、図表、科学技術、又は工程設計図及びその他の図形著作が含まれる。
(7) 視聴覚著作:映画フィルム、映画ビデオテープ、映画ビデオディスク、コンピュータディスプレイに表示される映像及びその他の機械又は設備により表現される映像の類で、音の収録の有無にかかわらず、あらゆるメディア上に固定可能な著作が含まれる。
(8) 録音著作:機械又は設備により表現される類のあらゆる音で、あらゆるメディア上に固定可能な著作が含まれる。ただし、視聴覚著作に付随する音はこれには含まれない。
(9) 建築著作:建築設計図、建築模型、建築物及びその他の建築著作が含まれる。
(10) コンピュータプログラム著作:直接又は間接的にコンピュータに一の結果を得させることを目的としたコマンドの組み合わせからなる著作をいう。

このほか、第7条の1第1項は「実演家による既存の著作又は民俗創作の実演は、これを独立した著作として保護する。」と規定していることから、 「実演」 もまた著作の一種である。ここにいう「実演」は「既存の著作又は民俗創作の実演」に限定され、「既存の著作又は民俗創作の実演」ではなく「即興の実演」であって、それが独創性を具備している場合には「演劇、舞踏著作」となる。

第1項は「本法にいう著作を例示すると次のとおりである。」と規定している。「例示」である以上、理論的には保護する著作の種類は上記11種類に限られるものではないことは明白であり、その他の種類であっても一向に構わない。単にこれまでその他の著作にお目にかからなかっただけのことである。最近、いわゆる「マルチメディア著作」というものがあってもよいはずだと考える者もいる。ただし、現在までのところ国はこのような分類を認めておらず、現時点ではこれは「各種著作をマルチメディアに固定させた結果」であるとしか認められず、まだ独立した著作の一種であるとまではいえないであろう。

その他、テレビで放映される内容は、例えば映画のような視聴覚著作であるかもしれないし、また競技中継のようないずれの著作にも該当しないものかもしれない。視聴覚著作であれば著作権法の保護を受けることができるが、著作でなければ著作権法の保護を受けない。ただし、著作権法の保護を受ける内容であっても、テレビ局は必ずしも映画作品の著作財産権者であるとは限らず、台湾においては、ヨーロッパ各国により確立された隣接権制度のように、テレビ局がその放送番組に対して一定の権利を享有するものではないため、テレビ局は契約又は公平交易法により自身の権利を保護することができるにすぎない