本国と外国の団体又は機構が相互に締結した著作権保護の協議は、行政院の承認後、第4条にいう協定とみなされる。
【解説】
本条は、第4条にいう「協定」について補充規定を設けたものである。第4条は、外国人の著作の保護について「条約、協定又はその本国の法令、慣習により、中華民国 (台湾)人の著作が当該国家において著作権を享有する場合」、当該外国国民の著作は「本法により著作権を享有する。ただし、条約又は協定に別段の定めがあり立法院の議決を経たものにあっては、その規定による」ものと明確に規定している。理論上、政府間の機関又は代表だけが政府間の権利義務、承諾の法的効果を生ずる「協定」に調印する権限を有し、非政府機関又は代表により調印された文書は私人間の協議にすぎず、調印した私人間において法的効果を生じ政府間の権利義務、承諾の法的効果を生じさせることはなく、本法4条にいう「協定」には該当しない。ただし、政治的な理由により、台湾は国連の承認する「国家」ではなく、国際社会においても大多数の国家が外交上台湾を「国家」であるとは認めていないことから、当事者間に国家と国家として外交関係が存在せず国家間の「条約」又は「協定」に調印することが不可能であるため、非政府団体又は機構が関連協議文書に調印するという技巧を用いることにより、国家間の「条約」又は「協定」に代替している。
これらの「協議」が第4条にいう「協定」の効果を生じるように、本条は行政院の承認を経たものは第4条にいう協定とみなす旨明確に規定した。現在、「台米著作権保護協定」(AGREEMENT FOR THE PROTECTION OF COPYRIGHT BETWEEN THE COORDINATION COUNCIL FOR NORTH AMERICAN AFFAIRS AND THE AMERICAN INSTITUTE IN TAIWAN)、「ニュージーランド駐在台北経済文化事務所とニュージーランド商工事務所の著作権保護及び相互保護の実施に関する弁法」(Arrangement between the New Zealand Commerce and Industry Office and the Taipei Economic & Cultural Office, New Zealand on the Reciprocal Protection and Enforcement of Copyright)等が最も典型的な事例である。上述の2つの組織は台湾においては民間組織であるが、実際上公的要素を具備した機構であり、外国との間に締結された著作権相互保護の協議はすべて行政院の承認を経て第4条にいう協定とみなされる。
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