資料の選択及び配列について創作性を具備するものは、編集著作となり、独立の著作としてこれを保護する。編集著作の保護は、収録改編した著作の著作権には影響を及ぼさない。
【解説】
編集著作は、著作の種類ではなく、創作方法である。「編集著作」とは資料の選択及び配列という創作方法により完成した著作であり、通常その著作の種類は、選択された著作の種類と同一である。例えば、この1年間に最も大衆に好まれた10曲の歌を本年度の精選ベスト曲集に編集する場合、10曲の歌は録音著作であり、編集後の年度精選ベスト曲集も同様に録音著作である。
例えば、米国著作権法第101条、日本著作権法第12条及び韓国著作権法第6条は、資料の「選択」又は「配列」によって「創作性」を具備しさえすれば編集著作となることを規定しているが、本条は、編集著作の創作において資料の「選択」及び「配列」を必ず同時に兼ね備えることを要し、「選択」「配列」のいずれも「創作性」を具備していなければ編集著作となることはできないと明確に規定している。従って、「選択」を行わなければ当然「配列」のしようがなく、「編集著作」にはなり得ない。また、「選択」のみが行われ「配列」が行われなかった場合、又は「選択」及び「配列」が行われたものの「選択」又は「配列」のうちいずれかが「創作性」を具備しない場合も、編集著作にはなり得ない。
選択及び配列の成果が著作権法により保護を受けるためには知的活動の存在が不可欠であり、資料の選択及び配列が創作性を具備していなければ編集著作とはなり得ない。たとえ苦労して収集したとしても、創作性がなければ編集著作として保護を受けることはできない。電話番号帳の配列を例に挙げると、この配列は氏名筆画順であるが、このような配列は誰が編集しても同じ結果になるものであり、創作性がなく、編集著作として保護されない。
「編集著作」の保護とは、「資料」の「創作性を有する選択及び配列」の「表現」の部分を保護することであり、その中の「資料」を保護することではない。「編集著作」に収録された「資料」が「著作」であれば、これが収録された「著作」と「編集著作」自体はそれぞれ異なる独立した著作であり、互いに影響を及ぼさない。著作財産権存続期間が満了し、パブリックドメインとなった著作は「編集著作」の内容として収録されたことにより、新たに保護を受けることはなく、また著作財産権存続期間中の「著作」の著作財産権が「編集著作」の内容として収録されたことにより「編集著作」の著作財産権者に移転することもない。当該「編集著作」を利用する際、同時に「編集著作」の一部として収録された各「著作」を利用することとなるため、適正な利用となる場合を除き、当該「著作」の著作財産権者の許諾を得なければならない。
第28条の規定に基づき、編集権は著作財産権者に帰属し、著作を編集しようとする場合は著作財産権者の許諾を得なければならず、無断で編集を行った場合は著作財産権者の編集権の侵害に該当する。しかしながら、同意を得ずに他人が著作財産権を享有する著作を編集し編集著作とすることは、個々の著作の編集権侵害ではあるものの、依然として当該編集著作は著作権法により保護を受けることができる。
2009年8月25日 原作修正に伴い訳文修正
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