著作者は、著作を完成させたときに著作権を享有する。ただし、本法に別段の定めがある場合は、その規定による。

【解説】

本条は著作権法の「創作保護主義」を明確にするものであり、換言すると、原則的に「著作者は、著作を完成させたときに著作権を享有」し、登録又は登記等、如何なる手続の履行をも要件としない。これは、ベルヌ条約第5条第2項前段の特別規定、即ち「著作権の享有及び行使は無方式主義をとる」に従ったものである。

1985年7月10日以前の旧著作権法においては、著作権の取得について「登録保護主義」が採用され、当時の著作権主務官庁であった内政部による著作権登録審査・許可を経て著作権登録証を取得しなければ著作権を享有することができなかった。1985年7月10日改正旧著作権法において、国際著作権法制度の発展動向に倣って「創作保護主義」を採用し、著作者は政府による著作権登録の審査・許可を必要とせず、著作の完成時に著作権を取得する旨改められた。ただし、著作権の登録制度は保留された。これは主として、公示制度により引き続き著作権の帰属を調査できるよう一般大衆からの要望があったからである。

「登録」という言葉は、例えば「登録商標」「特許登録」のように、登録査定を受けなければ商標権又は特許権が取得できないというように、文理上強力な「許可」の概念を包含し、また、1985年7月10日以降の著作権登録も依然として非常に正式な「著作権登録証」を発行していたことから、著作権登録手続を経なければ著作権を享有することができないと容易に誤認させるものであった。

著作権登録の概念を払拭するために、1992年6月10日改正著作権法において著作権登記制度に改められ、登記が認められた者に対して著作権登録証を発行しないものとした。即ち、戸籍簿のように、主務官庁の著作権登記簿に内容が記載され、登記した者に対して「著作権登記簿謄本」を交付するにとどまり、如何なる者も登記簿を閲覧し、同様の「著作権登記簿謄本」の交付を受けることができた。

1985年7月10日以降、著作権登録制度、著作権登記制度にかかわらず、その登録又は登記は、すべて証拠としての性質を有するにとどまり、著作権を取得するための要件ではない。しかしながら、一部の者又は司法機関において著作権登記が権利取得効果を有するとの誤解が存在したため、主務官庁は著作権登記の受理に多くの人力を投入せざるを得ず、著作権政策又は法令に専念することができなくなった。また、過去の著作権登録又は登記が真実に相違ないか否かが常に司法紛争において重要な根拠とされたことから、主務官庁は民衆からの虚偽告発の届出を必ず受理しなければならず、行政機関には司法調査権がないにもかかわらず、司法機関はややもすると著作権専属責任機関の告発事件に対する決定を期待し、著作権の帰属を確認するために主務官庁の告発事件処理に口を出したことから、1998年1月21日改正著作権法においてついに著作権登記制度を完全に取り消した。

著作権法の主務官庁は、1999年1月、内政部から経済部に変更され、経済部は特別に著作権を含めた知的財産権に関する業務を執行する智慧財産局を専属責任機関として設置した。以前は、すべての著作権登録又は登記の虚偽告発事件の届出に対して自ら又は司法機関により虚偽であることが確認された後、既存の登録又は登記が抹消されたが、2006年1月1日からは、虚偽であることが判明しても、著作権登録簿又は登記簿に注記され、民衆が閲覧する際の参考に供するにとどまり、既存の登録又は登記を抹消しないこととなった。