共同著作の各著作者の持分は、共同著作者間の約定により定められる。約定がない場合には、各著作者の創作寄与の程度により決定するものとする。 各著作権者の創作寄与の程度が不明である場合は、均等であると推定する。
共同著作の著作者が持分を放棄した場合、その持分はその他の共同著作者によりその持分の割合に基づき分配する。
前項の規定は、共同著作の著作者が死亡し相続人がいないか又は消滅後承継者がない場合に準用する。

【解説】

本条は、各著作者の「共同著作」に対する著作財産権の持分帰属について規定している。

第8条に規定される「共同著作」は、2人以上の著作者においてその著作財産権の持分をどのように確定するかについて、原則的には共同著作者の契約約定によるものとし、約定がない場合には、各著作者の創作への寄与程度に照らしてその持分の割合を定めるものとした。各著作者の創作への寄与程度が不明である場合には均等であるものと推定され、均等とすることが不適切であると考える者は、創作寄与程度を立証しなければこの推定を覆すことはできない。

権利の放棄は、法律に特別の制限規定がある場合を除き、権利者の自由である。権利放棄後は誰も権利主張をすることはできず、誰でもこれを実行することができ、著作財産権はパブリックドメインとなる。ただし、共同著作の場合には、共同著作者の一人がその持分を放棄し、当該放棄された部分が他人によって任意に行使されるとすれば、その他の共同著作者の権利に様々な影響が及ぶことから、本条第2項において、その持分はその他の共同著作者によりその持分の割合に基づき分配すると特別に規定し、その他の共同著作者の共同により著作の利用が完全に掌握されるようにした。

一般著作の著作者が死亡し相続人がいない又は法人解散後に承継者がいない場合には、第42条の規定によりその著作財産権を消滅させることができる。しかし、共同著作である場合には、その持分の著作財産権が消滅するとすればその他の共同著作者の権利にも前述の影響が及ぶことから、本条第3項は第2項の規定を準用し、その持分をその他の共同著作者にその持分の割合に応じてこれを分配するものとした。