外国法人は、法人の許認可を得ていなくとも第91条から第93条、第95条から第96条の1の罪に対して、告訴又は自訴を提起することができる。
【解説】
本条は、許認可を得ていない外国法人の刑事訴追権について規定している。外国法人は本法の規定に該当する場合、著作権者となり著作権法の保護を受けることができる。ただし、民法総則施行法第11条の規定により「外国法人は、法律の規定によらなければその設立は認められない」とされ、第12条は「許認可を得た外国法人は、法令の制限内において、同種類の中国法人と同一の権利能力を有する。前項の外国法人が中国の法律に従う義務は、中国法人と同様である。」と規定している。許認可を得ていない外国法人は、台湾においては権利能力を有せず訴訟行為をなし得ないことから、第91条から第93条、第95条から第96条の1の罪に対して、本来告訴又は自訴を提起することはできない。ただし、著作権侵害行為は著作権者の権利に対して損害を与えるばかりでなく、社会の正常な経済活動にも影響を及ぼすことから、本条は特に明文規定を設け、許認可を得ていない外国法人であっても、著作権侵害行為に対し告訴又は自訴を提起することができるものとした。
本条は、許認可を得ていない外国法人に対し告訴又は自訴の提起ができる旨明文規定を設けたにすぎず、それは刑事訴訟に限定されることから、当然本条に基づき民事訴訟を提起することはできないし、また刑事付帯民事訴訟も提起することができない。許認可を得ていない外国法人が民事訴訟を提起するためには、許認可を得るか、そうでなければ民事訴訟を提起する資格を有する者に著作財産権を譲渡する、又は民事訴訟を提起する資格を有する者に独占的ライセンスを付与し、著作財産権の譲受人又は独占的ライセンシーに権利を行使させるしかない。
コメントは受け付けていません。