著作者は、本法に別段の定めがある場合を除き、その著作を公開送信する権利を専有する。
実演家は、録音著作に複製された実演を公開送信する権利を専有する。

【解説】

「公開送信権」は、インターネットの発展後の著作者に対する新たな権利保護である。実演家を除き、各種著作の著作者はいずれも「公開送信権」を享有する。この権利の下では、ネットワークを介して行われる著作の送信は、一対多数であるワン・ウェイ方式のインターネットラジオ、テレビ放送(web casting)若しくは多数対多数である対話式の「インタラクティブ送信(Interactive transmission)」又はインターネット以外のその他の「公開放送」に該当しない送信のいずれかにかかわらず、すべて著作者の同意を得なければならない。これは、2003年7月9日改正新著作権法が著作者のネットワーク送信又はその他の「公開放送」に含まれない送信に対して付与した新たな権利である。また、ここにいう「公衆に提供する」とは、送信可能又は受信可能な状態にすることをいい、実際の送信又は受信行為までは要求されない。この権利の下では、他人の著作をネット上にアップロードし流通させたい場合に、他人のダウンロードに供することができるか否かにかかわらず、すべて著作権者の同意を得なければならない。その他、ウェブページにサウンドオーディオを設置し、他人のウェブのアドレスをはりつけ、公衆にストリーミングにより音楽を聴取させることは、他人の著作の「公開送信」には抵触しないため、公開送信権侵害には該当しない。ただし、他人のウェブサイト内の音楽が違法な公開送信であることを知りながら、依然として自らリンクすることにより公衆に提供する場合には、公開送信権侵害の共犯又は幇助犯に該当する可能性がある。

実演家の公開送信権は極めて制限的なものであり、録音著作に収録された実演に対してのみ公開送信権を享有し、生実演又は録画テープの公開送信については実演家の同意を得る必要はない。