立法又は行政目的の必要のために他人の著作を内部参考資料に挿入する必要があると認められる場合には、中央又は地方機関は適正な範囲内において他人の著作を複製することができる。ただし、当該著作の種類、用途及びその複製物の数量、方法に照らして著作財産権者の利益を害するものはこの限りでない。

【解説】

本条は、政府機関内部の適正な利用に関する規定である。本条の適正な利用を主張し得る主体は「中央又は地方機関」であり、総統府、行政院、立法院、司法院、考試院、監察院、各部、会、行、処、局、署、省(市)政府、県(市)政府及びその所属機関が含まれ、換言すれば、一級機関に限定されず、中央又は地方の各級機関が含まれる。その利用目的は「立法又は行政の必要性」かつ「内部参考資料として挿入する」ことにあり、例えば公文書の作成又は政策、法規、命令の起草の参考とすることがこれに該当し、それは「内部参考」に限定されることから、対外的に頒布することができない。利用方法については、本条の「複製」行為のほか、第63条第1項の規定に基づき翻訳もすることができる。ただしこの場合には、著作者人格権を尊重し、出典を明示しなければならない。利用の範囲については「適正な範囲内」でなければならず、この「適正な範囲」とは、本条但書「当該著作の種類、用途及びその複製物の数量、方法に照らして著作財産権者の利益を害するものは、この限りでない」との規定のほか、第65条第2項に規定される4項目の基準によりこれを認定しなければならない。

本条の利用目的は、「内部参考資料に挿入する」必要があることだけでなく「立法又は行政目的の必要」のためでもあることから、「他人がすでに公表した著作」に限定されず、未公表の著作もまた複製の適正な利用としてこれを行うことができる。

本条の適用の下において、政府機関は海賊版コンピュータプログラムの使用論文集全部の複写を行うことはできない。また、毎日慣例的に新聞雑誌の関連記事を社会動向資料として編集整理し、Local Area Network(LAN)を通じて機関内の全同僚に参考としてそれぞれ送信することはできない。