法に基づいて設立された各級の学校及びその教学を担当する者は、学校の授業において必要がある場合、適正な範囲内において他人の公開発表された著作を複製することができる。
第44条但書の規定は、前項の場合に準用する。
【解説】
本条は、学校教学の場における適正な利用について規定するものである。適正な利用の主体となることができるのは、「法に基づいて設立された各級の学校及びその教学を担当する者」に限られ、塾、予備校等又は営利的、政治的なもので「学校」の名称を有するが、各級学校設立法規に基づき設立された教育機関でないものは含まれず、また、公私の機関部門の教育訓練センターもこれに含まれない。また、「コミュニティ大学」とは、終身学習法第3条第5項によれば、「正規教育体制のほか、直轄市、県(市)主管機関が自ら、又は管理委託によりコミュニティ住民に生涯学習活動を提供する教育機関をいう」が、本条にいう「法に基づいて設立された各級の学校」ではない。以上これらの本条にいう「法に基づいて設立された各級の学校」ではない組織又はその教学担当者は、第52条に該当する場合でなければ、適正な利用として認められない。そのほか、補習及び進修教育法第9条は、補習及び進修教育はそれぞれ、「国民補習学校」「進修学校」及び「短期補習クラス」の三種類の組織に分けて設立運営すると規定しており、そのうち「短期補習クラス」は本条の適用に列挙されていないが、「国民補習学校」又は「進修学校」は、本条にいう「法に基づいて設立された各級の学校」に含まれる。(訳注:一般的に進修とは、思想や業務のレベルを高めるため一定期間講習や研修を受けることをいう。)本条は、学校及びその教師が正式に学籍を有する学生に対して行う授業のみに限定しておらず、学校が運営する国民補習教育、又は在職進修の単位認定、非単位認定クラス等にも及ぶ。
第63条第2項及び第4項に基づき、本条の利用として翻案及び頒布も可能であることから、例えば、教師が外国語の文章を中文に翻訳し学生に配布することも可能である。しかし、「適正な範囲内」であることが必須条件であり、本条の適正な利用の認定基準は2つある。1つは、第2項に規定される第44条但書の規定であり、即ち、当該著作の種類、用途及びその複製物の数量、方法に照らして著作財産権者の利益を害するものはこの限りでない。2つ目は、第65条第2項により判断され、判断基準は「(1)利用の目的及び性質。商業目的又は非営利の教育目的であるかも含まれる。(2)著作の性質(3)利用の際の品質及び全体の著作に占める割合(4)利用結果が著作の潜在的な市場と現在の価値に及ぼす影響」である。
本条の適正な利用となる客体は「すでに公表されている著作」に限られ、未公表の著作については、本条に依拠してこれを行うことはできない。また、本条の利用は第64条の規定に基づき、著作者人格権を尊重し、出典を明記しなくてはならない。
本条の規定に基づき、各級学校又は学校の教師は、文章又は図表を複写し授業の解説として用いることができる。ただし、第2項において準用される第44条但書により、その結果において、例えば、教師が数篇の著述を複写し合本を学生に配布する又は学校が統一的に一篇の著述又は試験問題を印刷し学生に配布若しくはテストをする等の行為は、すべて「適正な範囲内」を超えるものであり、許諾を得なければこれらを行うことはできない。
本条の適正な利用は、学校内の個々の授業活動に限られ、複製、翻案又は有体物の頒布行為ができるにすぎず、ネットワークにおける無形の公開送信活動は含まれない。従って、当該条文はインターネット遠距離教学には適用され得ず、その他の規定によらなければこれを行うことはできない。著作権法において遠距離教育の適正な利用に関する明文規定が設けられるまでは、第52条に基づき教学の必要のために適正な範囲内においてすでに公開された著作を引用するか、又は第65条第2項のその他の適正な利用を援用するしかない。
2011年1月28日原文修正に伴い、一段落を修正
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